筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

幼稚部の笹取りに同行して

 幼稚部全員で、笹取りに裏山に行くということで同行する。

 年少のひよこ組は、全員、避難車という乗り物で移動したとのこと。年中のりす組と年長のうさぎ組は笹を積むリヤカーと徒歩で移動すると言う。幼稚部の教員に「校長先生もどうですか?」と誘われた。ちょっと手薄なので手伝えというのが本心なのだろうとは思いつつ、同行することにする。

 裏山の目的地は、隣接する研究所のグランド。フットサルのコートになっている。そこまでは、大人の足で7~8分である。海に面した本校にとっては、地震に伴う津波を考えると、またとない避難場所である。したがって、日頃から体育をはじめ遊びや様々な活動で利用し、行き慣れることにしている。だから幼稚部もよく利用している。
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 りす組、うさぎ組合わせ一行10名で裏山に向かう。徒歩志願が3名、リヤカーの前後を固めた。いざ、出発!リヤカーに7名が乗っている。幼児だからたいしたことなかろうと、若い男のM先生に任せていたが、表情が厳しい。後ろから押すと、ずっしりとした重さ。非力な私が押してもスピードアップした。私でも役に立つということらしい。

 さて、裏山の入り口に到達。本格的な坂道を子どもの足で15分位は登らなければならい。私もT君とS君の二人を連れていく。二人とも今まで私の手を求めてきたことはないが、至って素直に手を繋いで登る。坂道では楽だと感じているのだろう。手を離すとしゃがみ込んでしまう。ヤブ蚊が多いので立ち止まりは危険だ。励まして登る。途中、笹竹があるので、それに触ったり、「七夕」を歌ったりするものの、二人は登るだけで精一杯の様子。やっと目的地が見えて元気を取り戻した。

 グランドでは、先についたひよこ組が走り回ったりシャボン玉遊びをしたりしていた。シャボン玉を飛ばす子、それを追いかける子、そして大きなシャボン玉を作ろうと慎重に吹いている子がいる。開放感の中で走り回る子、先生におぶってもらって喜んでいる子もいる。

 後続隊が「笹をとってきたよー」と言いながら到着した。笹飾りにはちょうどよさそうな枝振りである。

 みんな揃ったところでおやつの時間となる。おやつは、果汁グミ。子どもたちの大好きなものらしい。ひよこ組のKさんが先生からもらって喜んでいる。私が「ちょうだい」と言うと、ちょっと困った顔をしたKさんだが、持っていた果汁グミを私に渡し、バイバイをする。顔は心配そう。でも、先生からもう一つもらって笑顔になった。みんなに行き渡っていただくことになる。
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 おやつを食べている様子には、年少、年中、年長の違いがよく出ていた。年少は落ち着かない。自分の分が無くなったと催促する子がいるかと思えば、まだ食べている子の分に手を出す子、無くなったと泣く子など賑やかである。年中、年長となるにしたがい落ち着いている。と思っていると、年少の子どもとの間にすわっていたR君、年少の子どもの動きに用心していた隙に、後ろから年中組のI君の手が伸びてきた。間一髪、自分の果汁グミを守り通した。

 年少の子どもが泣いているのを見ていた年長のM君が「泣いている」と言う。それを聞いたN先生は「どうしたの」と声をかける。M君「かわいそう」という。N先生「そうだね、かわいそうだね」と。M君「なみだ」と言う。こうして、この子たちの感情も少しずつ育っていくのだろう。

 まあ、いろいろあったが、何とか子どもたちと一緒にたくさんの笹を持ち帰ることができた。