筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba
HOME > 校長にっき > 6月10日 「皆働(かいどう)社会」を目指す会社

6月10日 「皆働(かいどう)社会」を目指す会社

 6月6日(木)に、PTAの事業所見学として、川崎市にある日本理化学工業株式会社に行ってまいりました。日本理化学工業さんは、炭酸カルシウム製のチョークをわが国で初めて開発し、現在、チョークの国内シェアで7割を占めるトップメーカーです。と同時に、従業員の7割以上が知的障害のある方(しかも、うち4割以上が障害が重度の方)であるということで、障害者雇用で知られる会社でもあります。私は、以前同社がテレビで紹介されていたのをたまたま拝見したことがあり、実際に伺えるということで、見学できる日をとても楽しみにしていました。

 当日は、PTAで観光バスをチャーターし、28名で川崎に向かいました。役員の方がコーヒーとお菓子を準備してくださっていて、それを口にしながらいろいろとお話をさせていただく機会にもなり、道中がちょっとした観光旅行のような雰囲気で、とても楽しく過ごすことができました。(PTA会長さん、副会長さんのお気遣いに感謝です。ありがとうございました!)
玄関.JPGウェルカムボード.JPG

 日本理化学工業さんに着くと、見学開始まで少し時間がありましたので、同社の「kitpas」(キットパス)という固形マーカーで、皆さんと一緒に窓ガラスに落書きをさせていただきました。小学生の頃を思い出して、久しぶりにウッドストックを描いてみました。
落書き1.JPG落書き2.JPG

 日本理化学工業さんには、見学に伺った川崎工場のほかに、北海道の美唄にも工場があるとのことで、ダストレスチョークのカラーチョークは川崎で、白チョークは美唄で生産されているとのことでした。早速、工場内を見学させていただくと、この日は黄色のチョークを作っておられました。

 作業は、従業員一人一人の持ち味が生きるよう役割分担されているとのことで、見学者がうろうろする中、従業員の皆さんは自身の作業に黙々と打ち込んでいらっしゃいました。圧巻だったのは、粘土のようにやわらかい原料が丸穴を通って丸棒状になって出てくるチョークを、板に取って真っ直ぐに並べ、両端をちぎって一定の長さにしていく作業の様子でした。確か12本ほどを1枚の板に並べるのですが、真っ直ぐに、しかも隣り同士くっつかないよう絶妙にすき間を空けて並べる技術の高さは、まさに卓越した職人技でした。直径11mm、長さ63mmのチョークの品質を守るため、従業員の方にもわかりやすい検品用具が開発されるとともに、穴あき等がないか作業工程の間に何度も検品を重ねておられる様子から、メーカーとして品質への信頼を大事にされているプライドが感じられました。

 「会社のことが誰よりも好きだった」から先代のお父様から会社を引き継いだという大山社長さんが直々に見学に付き合ってくださり、質疑応答の際に、同社に就職するための4つのルールを説明してくださいました。
① 身の回りのことが自分でできること
② (身振りも含めて)意思表示ができること
③ 社会人として一所懸命に働くこと
④ 周りに迷惑をかけないこと
障害者雇用を始めて60年の歴史がある同社には、1つの会社として従業員が一体となる文化があり、社長の大山さんも、お父様から精神を受け継がれて、会社が1つになるよう工夫され、苦心され、リードされている様子が伝わってきました。上記の4つのルールも、私たちが、子供たちにどのような力を育てればよいか、を考える上で、とても参考になるお話でした。

 前任の学校の話になりますが、「本校」と呼んでいる校舎での授業は、今でも「黒板にチョークで書く」スタイルで、実は日本理化学工業さんの「ダストレスチョーク」を使っていました。校舎改築の際に、新教室にホワイトボードを設置するか否かの検討を行いましたが、教員の多くが「黒板にチョーク」を支持し、黒板を設置することで決着しました。前の学校は、これからも「ダストレスチョーク」のお世話になると思います。「皆働(かいどう)社会」の実現を目指す一方で、世の中がチョーク離れに進む流れにあって、それでもチョークの品質向上や今後の主力商品として期待のかかる「kitpas」の世界展開を模索されるなど会社経営に苦心されている大山社長さん、そして従業員の皆さんの仕事ぶりをもっと早くに知っていれば、もっとあのチョークに愛着がわいたのではないか、という気がして、今ではそれが惜しまれます。

(今回は、残念ながら工場内が撮影禁止であったため、写真でご紹介できず、文が長くなってしまいました。すみません。)

 最後に、見学を終えた後、同社の購買コーナーで「kitpas」のお風呂セットを購入しました。我が家に持ち帰り、家でも使ってみようと思います。
「きっとパス(pass)」という意味があるそうで、縁起がよさそうです。