筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba
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3月15日 最後のはなし ~修了式にて~

 良い天気だった。風もなく寒くもなく、春の陽気の中で今日を迎えた。
 スクールバスの運行がない日、お母さんと連れ立って登校する子供たちは、今日が特別な日であることを、どこかで感じているようだ。ちょっとテンションが高めな子、お母さんに甘えるそぶりを見せる子、いつも通りの子といろいろだが、私との「おはよう」の挨拶は普段とあまり変わらなかった。

 修了式の授与。りっぱだった。幼稚部代表の2名のしっかりしていること。きちんと立ち、私から差し出された修了証書を両手で受け取った。小学部代表の5名もそうだった。呼ばれると返事をし、前に進み、少し高くなった台に立った。卒業式と違って改まった練習をしない修了式は、どちらかと言えば普段着の儀式である。多少、落ち着かなくても、先生にサポートを受けても大目に見られる。今まではそんな印象だったが、今年は違った。子供たちが、どうするのかというイメージを持っているように感じた。
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 想像するに、2日前の修了・卒業式の影響だろう。幼稚部の5歳児と6年生は練習を積み上げ、とても立派な所作を見せた。その姿がモデルになったようである。そうでもなければ説明できない。
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 改めて思った。学校は、教師だけが子供を育てているのではない。育ち合おうとする子供たち、それを見守り励まし手引きする先生たち、その学校に期待し協力を惜しまない保護者の皆さん、そして学校を幾重に支えていただく地域の皆さん、そうした中で子供が育つ場なのだ。こうした人たちが何年も、何世代にもわたって作り上げてきた、子供の成長のためのステージが学校なのだ。

 さて、校長の話。私の話では、いつも映像を使う。今日は、1年間の思い出をビデオ映像で振り返った。1学期の入学式、小学部遠足、幼稚部遠足、2学期のきらきらコンサートと運動会、3学期の幼稚部餅つきと小学部マラソン大会のダイジェスト版。1学期と2学期は短めに、3学期は初めての紹介でもあるので少し長めにして、一人一人に焦点を当たるように編集した。子供たちは映像にくぎ付けになる。私は少し解説するが、それより映像のインパクトが大きい。編集が勝負である。餅つきを見る子供たちの目、マラソン大会で歓声を上げる子供たち、今日の編集はまずまずだったようである。そして、進級を知らせる。ドラムロールを効果音に使い、クラス全員の顔写真が一つずつ上がる仕掛け。着任時から使っているこの仕掛け、一緒に驚いてくれる先生たちの協力もあり、結構盛り上がっていた。式後に廊下であったK先生が、「校長先生の最後の授業、すてきでした。」と言ってくれた。目頭が一瞬熱くなった。

 季節の歌。1年生一人一人が、パソコン操作係、巻物引き係、ポンポン係、司会の役割を果たした。それぞれに役割があるのがいい。そして、校歌。6年生が卒業したので5年生だけで演奏。新たに指揮を担当したM君は、一緒にやろうとする先生に、自分でできると主張した。指揮の合図で、ピアニカ、木琴、ハンドベルの校歌演奏。6年生のバトンを5年生が、確かに受け継いだようだ。

 修了式後は離任式。今月末で12人の教職員が本校を去ることが紹介された。私も、その中の一人だ。6年間、子供たちと、朝の挨拶を交わしてきた。玄関のコーナーに立ち、子供たちの登校を見守り、最後に「おはよう」を交わすことが好きだった。 「校長先生と皆さんは今日で、さよならです。4月からは新しい校長先生が来ます。皆さんお楽しみに。」子供たちへの最後の話である。6年間紡いできた物語の終わりは事実で十分だ。
 
 拙い読み物にお付き合いいただいた皆様、ありがとうございます。今年、忙しさにかまけ、空白が続いた時期のあったことを改めてお詫びします。これからの久里浜の物語、また、形を変えて届けられることになると思います。どうぞ、お楽しみに。