筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

思いを形に その2~ままごと~

 今年4月に入学した3歳児たち。夏休み明けの学校にも慣れ、朝から思い思いの遊びに熱中している。ひよこの教室を覗くと、Kさんが粘土遊びをしていた。粘土を丸め、伸ばし、型に入れ押す、ローラーで伸ばす、型から抜く、きれいに抜いて並べる。隣に実習中のK先生がいて、粘土遊びを一緒にしながらいろいろ話しかけている。作りながらいろいろ提案しているようであるが、Kさんは型抜きに夢中だ。そのうち抜いたものをお皿に並べ始めた。

 Kさんの様子を見たF先生が、教室内にある収納棚の扉を開け何やら運びだした。段ボールでできたものだが、私にはその意図が、すぐに分からなかった。F先生は、Kさんが遊んでいるコーナーから少し離れたところにそれを設置し、敷物と小さなテーブルをセットした。その時点で、段ボールが家の扉の役割を果たすものであることが、やっと了解できた。F先生が、「Kちゃん、冷蔵庫運んで」と声をかける。Kさんは、段ボールでできた箱型のものを、出来上がったコーナーに運んだ。

 その後、mamagoto.pngKさんは、F先生が作ったコーナーに、型抜きをして皿に並べた粘土やまだ形になっていない粘土のかたまりを運んだ。そして、F先生相手に粘土を食べ物に見立てたままごと遊びを展開した。しばらくすると、そこに、同じひよこ組のAさんとY君が入ってきた。Aさんは、登校してカバンをしまうとすぐに、Kさんの使っている粘土に手を出した。プレイルームで遊んでいたY君は、教室に入って楽し気にままごと遊びをしているのが気になったのだろう。

 Kさんは、Aさんの介入もY君の介入も実力で排除した。2歳を過ぎるころ、子どもは好き嫌いが明確になり、それを断固として守ろうとかたくなになる。誰かがしている遊びに後から興味を抱いても、それを何としても手にいれなければ納得しない。泣きわめいて手に負えないことも珍しくない。Kさんにそこまでのかたくなさを感じないのは実力行使ができるからかもしれない。そうした発達状況のあることを踏まえるとKさんの行動はとても自然に思える。

 その後、F先生は、Aさんを別のコーナーに誘い粘土遊びができるようにした。Aさんも、粘土を細くし、切って、丸めて、容器に入れたりコップに入れたり、口に持っていく場面もあった。私は、動作の模倣なのか、見立てなのかと考えながら見ていた。動作を遅れて模倣することも大事なことなのだと思いながら。でも、Aさんは、見ている私には目を向けない。対人意識がもう少し育ってほしいなと思いつつ、今は、物を操作することに気持ちが集中しているのだろうと納得した。その様子をみながら、いつか、KさんとAさんが二人でままごと遊びをする光景を想像してみた。