筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

子分になる ~幼稚部の遊びから

 朝、「おはよう」と言いながらひよこ組(年少組)の教室に入る。

 登校したばかりの子どもたちが持ってきたものを片づけたり、先生とお母さんが引き継ぎの話をしたりしている。

 そこに、去年までの住人でりす組に進級したH君が入ってきて何やら物色している。私と目が合った。するとH君何を思ったか、教室の隅にあった防災頭巾を一つかぶり、もう一つを私のところに持ってきて差し出す。どうやら「かぶれ」ということらしい。不思議に思ったが差し出されたままに頭に運ぶと、H君に手を引かれる。教室から外にでていくようだ。教室の扉のところまで行くと、立ち止まって引き返す。何か気が付いたらしい。そのようすを見て、F先生が「そうかH君、アイテムが足りないんだね。」と声をかける。

 私には、まだ何が進行しているのか分からない。H君はままごとセットの箱から何かを見付けようとしている。ますます分からない。そのうち、H君は5㎝ほどのスプーンを取り出した。しばらく見て、目的のものでないと思ったのか箱に戻す。今度は10㎝程のフライ返しを取り出した。それを私に渡す。また箱の中を探し、15㎝ほどの包丁を見付けた。それを自分で持ち、また私の手をとって教室を出る。

 プレイルームを横切って向かったところはうさぎ組(年長組)の教室。そこに二人で乗り込むと、うさぎ組の子どもたちはまだ着替えの最中だった。私たちが入ったことに気付いたT君は、手を横に広げて通せんぼをした。ちょっと怖い顔をしている。前にいた私が後ろにいたH君に振り向くと、包丁を前にチョンと出す。攻撃しろとのことらしい。T君は後ろにいるM先生を守っているようだ。

 ようやくここまできて、私はH君の子分になって、M先生をやっつける遊びの仲間に採用されたことに気付いた。なるほど、防災頭巾は二人が仲間であることの証という訳である。