筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

角番校長の挨拶日記その8 ~成長の期待~

 3学期が始まった。例年なら寒さの厳しい時期であるが、今年は温かい日が続いている。私が玄関に立つ場所は、子どもたちが利用する玄関の正面であるから、風の通り道に当たる。去年は寒風にさらされ身を縮めたが、今年はお日様に誘われ外に出たいくらいの気持ちになる。

 子どもたちには、冬休みを終えて何となく成長の様子がうかがえる。1年の終わりの時期を迎え、子どもの成長を確かめたいという私の期待や願望のなせるわざという訳でもないようである。そんなことを玄関に立っていて感じる。

いつも寝不足ぎみで教師に促されながら行動する5年生のY君、これまでは玄関に入ったところから気になって目で追いかけざるを得なかったが、今日は気が付くと私の前にいた。「おっ、Y君」と驚きの声を上げるとY君は頭をペコリと下げて教室に向かっていった。すっきりした後ろ姿である。

入学以来、3年生のR君とは、すれ違いざまにお互いが片手を合わせることを挨拶としてきた。そうしてきたのは、彼が私の前を稲妻のように走って通りすぎるからである。今日は違った。私の前に少し顔を下に向けて立ち、「R君だね」と言うと、顔をこちらに向けて声を出した。「おっ」「はっ」と聞こえる。驚いて担任に説明を求めると、2学期頃から教室でも家庭でもよく発声しているとのこと。朝の玄関でそれが現れるようになったのだろう。

2年前の4月、6年生のK君は玄関から行方不明になった。私が玄関で角番をするきっかけになった子どもである。「角番」とは、角で見守ることを自認した言い方である。廊下の交差点としての「角」という意味と、そこで子供が行方不明にならないよう「番」をしているという意味である。2年前の事件があってからK君の担任は、ひと時も彼から目を離さないよう、特に玄関では緊張感をもっており、張り詰めた雰囲気を漂わせていた。最近は担任が穏やかな表情でK君の行動を見守っている。K君はコミュニケーション面でも学習面でも格段に成長した。

 さて、短い3学期であるが、子どもたちがどんな成長ぶりを見せてくれるか楽しみである。