筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

角番校長の挨拶日記その3 ~気持ちを切り替えて②

 先日、1年生のKさんが、玄関でやっとのことで気持ちを切り替えて教室に向かう様子を書いた。

 今日は、5年生のH君の、これまた気持ちの整理にかかわる様子を紹介しよう。

 H君が靴を履き替えて教室に向かって、私の方に歩いてくる。私は角に立っているので、まっすぐ向かうH君にすれば左ななめ前方に私がいる。他の子は私の方に向かって歩いてくるか、まっすぐに教室の方に向かい多少のずれを気にせずに挨拶していく。だが、H君は、立ち止まり、「左向け左」のように、かかとを軸に90度方向を変えてから挨拶をする。

 この4月、H君の担任が代わった。玄関に前の担任のA先生がいるが、4月当初の彼は、A先生と顔を合わせないようにして通り過ぎようとした。A先生は、H君を呼び戻し、担任ではなくなったけど挨拶をしようねと、その都度話していた。続く私のところでは、いつものように挨拶をした。もちろん彼は、新しい担任には、きちんと挨拶をする。

 H君とすれば、担任が代わるという大変な事態を受け入れ、自分の気持ちを整理したのに、どうしてまた前の担任に挨拶をしなければならないのか、という思いなのだろうか。「分からない」「混乱する」という状態だったのかもしれない。

 そう言えば同じ頃、H君と同じクラスのY君は対照的だった。前担任のA先生に玄関からずっと付いて回り離れなかった。A先生は1年生の担任になったが、その教室にも一緒に入った。担任の変更がなかなか受け入れられなかったのである。

 今日も彼は、顔を横に背けてA先生の前を通り過ぎた。だがA先生が彼の背後から「おはよう」と語りかけると、「おはよう」と返した。この頃、こんなやりとりができるようになったのだそうである。続けてA先生が「今日、何かあるの?」と聞いたが、それには無言だった。

 私のところに来た。いつものように少し改まった「おはよう」の後、足早に通り過ぎようとしたところを、私は止めた。「H君、今日は何があるの」と聞くと、少し間を置いて、「しゅくはくがくしゅう」と答えた。今日から、5年生の一大イベントである校外での宿泊学習が始まる。

 校外での宿泊学習は、新しい経験の連続だろう。気持ちの切り替えをうまく行って、楽しい経験を積んできてほしいものである。