筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

自閉症啓発デーイン横須賀 ~誰と行うかが大事~

 12月3日~9日は障害者週間である。jiheishokeihatu1.png毎年この時期、本校は隣接の研究所と共催で「自閉症啓発デーイン横須賀」を行っている。自閉症に関連した映画、映画を基にしたミニ講義、そして当事者からのメッセージが、恒例のプログラムとなっている。

 今年の当事者からのメッセージは、本校で幼稚部を過ごし、地域の養護学校で学んでいるTさんからのメッセージだった。Tさんは、それぞれの学校で過ごした思い出を語ってくれた。本校幼稚部時代は、学校からよく「脱走」したそうだ。そのたびに探してくれた先生の名前を嬉しそうに挙げていた。地域の養護学校小学部のときには、校長室に入って、そこにあるコーヒーを無断で飲んでしまって叱られたそうだ。そのときに叱った先生の名前を挙げ、そのことがたくさんの先生たちに知れ渡ってしまったことなど、これも名前を次々と挙げ楽しそうに話してくれた。中学部、そして今の高等部での話もしてくれたが、どの話にも先生たちの名前がたくさん出てきた。

 学校は、子どもたちの自立や社会参加に向けて教育をする場である。そのために必要なことを教え、それを子どもたちが身に付けることを期待する。そういう場であるが、子どもたちにとっては、かけがえのない「いま」を生きている場なのだ。「いま」を「だれ」と生きるかが大きな関心事に違いない。誰と学ぶかによって、学びの良し悪しさえ変わってくることは、自分の経験に照らしても明らかである。たくさんの名前を挙げるTさんの話に、そんな思いを強くいだいた。

 プログラムが始まる前に、お手伝いに来ていた5年生のK君のお母さんと言葉を交わした。K君は待つことが苦手である。車に乗っていて信号が赤で停止することにもイライラするのだそうだ。K君は、赤では待たなければならないこと、青になると進めることを知っている。だが、青になっても車はすぐに進めるとは限らないのである。赤信号待ちで、K君の乗っている車の前に車が停止していると、青でも進めない事態になり、イライラが嵩じるのだそうだ。

 そのK君にとっては、床屋での散髪も一大事なのだそうだ。座って散髪が終わるまで待たなければならない。髪を全部切るわけではない。ちょうどよく切り揃えるのだから、終わりが分かりにくいのである。いつまで待ってよいのか分からない。そこで、お母さんはいつ気持ちが切れるか心配しながら待っているのだそうだ。ところがそのK君、大柄で太目な人が好きで、床屋さんにもそういう人が最近勤めることになったのだそうだ。その人に切ってもらえるときは、にこにこして終わりは気にしていないかのようだという。K君にとっても、誰と一緒に行うのかが大事なようである。