筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

いきいきタイム ~Y君のいも餅返し~

 本校には、社会生活の指導をする「いきいきタイム」という時間がある。子どもたちが家庭や社会で経験することを取り上げる。調理もその一つである。

 今日、宿泊もできるデモホームの近くに行くと、何やらいい匂いがしてきた。匂いに誘われデモホームに入ってみると、小学部4~6年生のあるグループの面々がホットプレートを囲んでいる。

 どの顔も真剣にホットプレートで焼けている黄色く平たいものを見つめている。「いも餅」だという。このグループには、小麦アレルギーの子どもがいるので、さつまいもを素材にしたのだそうだ。前時に、皆でさつまいもをつぶし、ラップにくるんで平たく伸ばし、冷蔵庫で保存。それを焼き始めたところなのだそうだ。

 私がデモホームに入ったのは、いも餅をくるんでいたラップをはずし、ホットプレートに上げて数分たったところ。甘い匂いが立ち上ってきたところだった。グループメンバーがホットプレートに引き付けられるのも納得がいく。

 K先生が一枚裏返して見ると、生地が少し固まって焼き色がついてきたところだ。K先生が「そろそろ焼けたようだね。Y君に裏返してもらおうか」と言う。裏返すのはY君の役割として予め決まっていたようだ。

 Y君は立ち上がり、K先生からフライ返しを受け取った。そして、自分に近いところのいも餅を返そうとする。だが、いも餅の下にフライ返しがうまくはいらず餅が動いてします。もう一度試みるが、やはり餅が動く。さらに試みると、今度は餅がホットプレートのへりまで押されたので固定される状態になり、フライ返しが餅の下に入った。Y君は、にんまりしてひっくり返した。これで要領をつかめたようで、次からは同じようにホットプレートのへりまで動かして返す。あるいは、ほかの餅に押し付けて返すこともしていた。小さな発見をしたようである。10枚以上のいも餅を真剣な表情で次々と返し、全部終えるとK先生に笑顔を見せた。

 後で食べた様子を聞いた。全員がお代わりをして食べたそうである。あの色と匂い、納得である。