筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

記念写真の意味 ~入学式~

 桜は満開だというのに、冷たい雨が降りしきっている。珍しく花咲く桜の下で新入生を迎えられると思ったが、あいにくの天気である。せめて心を満開にして、温かく子供たちを迎えようと教職員に話した。

 今年は、幼稚部年少組(3歳児)5名と小学部1年生6名の新入生を迎えた。入学式では、保護者と一緒に式場に入る。まずは、新入生入場である。式場には、新入生と保護者が手をつないで入る。手をつないではいるものの我先に歩き出す子ども、見慣れない場に表情のかたい子ども、何か興味あるもの見つけようとしている子どもなど個性的な様子を見せてくれた。

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 入場後は、新入生紹介。一人ずつ、顔写真をスクリーンに写しながら紹介する。このときに名前を呼ばれて返事をできる子どもは多くないが、新1年生の中には、「はい」と言ったり、手を挙げたりする子どもがいた。こうした状況になるので、私は「校長の話」の中で、もう一度、じっくり名前を呼ぶことにしている。すると、結構、私の方を見てくれる。式の主人公である新入生、入学式ばかりは、その名前を繰り返し呼んでも許されるだろう。

 次は、私からの話であるが、今年試みたことがある。それは、学校の楽しい場所を、担任の先生に紹介してもらったことである。新入生に呼びかけるように演じてもらい、ビデオに撮って見せた。この動画を、新入生は食い入るように見ていたし、在校生もよく見ていた。話は相手に届いて「なんぼ」である。自分と関係のあるものが、自分の捉えられる範囲に、自分の捉えられるテンポで提供されることが大事なのだ。

 さて、入学式に記念写真は付き物である。だが、本校の場合は、記念写真を撮ることがなかなか難しい。この写真には、新入生とその保護者、担任と主事、そして校長と副校長が収まる。言うまでもなくカメラで撮るわけだが、個性溢れる新入生が、一瞬の間、カメラを向くことが至難なのである。

 そこでは、自分たちの向こう側(カメラのある側)でしていることが、しばらく経つと写真になる。だから、ほんの少しの間向こう側を見てじっとしている、ということができなくてはならない。原因と結果、時間の経過、これから経験を通し、時間をかけて学んでいくことを3歳の子供に求めることは無理である。1年生も確かではない。そこで、次善の策として、カメラ側で子どもたちが興味あるものを示して注意を引こうとする。しかし、興味を引きすぎてもだめである。子どもが興味の対象を求めて動いてしまってもいけない。加減が難しいのである。

 結局のところ、当初は子どもが前に座って、その後ろに保護者が立って撮る予定であったが、3歳時は3名が保護者に抱っこされて撮ることになった。それでも、顔を前に向けるため、向こう側で教員が注意を引きつけた。1年生は、予定の隊形で取れたが、保護者がそれとなく支えていたようだ。子どもたちの顔が前を向いているかどうか、写真の出来上がりが楽しみである。

 この記念写真、幼稚部3年後、小学部6年後の修了・卒業式の写真と比べて見たい。そこには、子どもたちが学んだことが刻まれていることだろう。今から楽しみである。