筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

体験と言葉

 今日はあいにくの雨。大人がちょっと憂鬱になりがちなのに対して、子供は雨が好きなものである。登校する様子を玄関から見ていると、楽し気に傘をさし、閉じたり開けたりを繰り返したり、くるくる振り回したりしている。雨が降っているのに、傘を閉じて水たまりをつついている子供もいる。色様々なレインコートもかわいい。そのレインコートの色合いや模様を、待ち構えた先生たちから、「かわいいいね」とか「かっこいいね」とか言われて、子供たちははにかんだ笑顔を見せる。

 今日の玄関での出迎えも終わろうとした頃、ひときわ大きな声で「あっめ」「あっめ」と言いながら入ってくる女の子がいた。1年生のNさんである。玄関で迎えた担任にも「あっめ」とはっきり告げる。一緒に来たお母さんに聞くと、雨が好きで、雨の日は出かけるのを特に楽しみにするのだそうである。また、「あっめ」と大きな声。そして、次は、Tシャツを指さして「アイス」という。確かにそこには、アイスがプリントされていた。「あ」つながりだろうか。ほかにも「あ」の付く言葉を期待したが、続くことはなかった。

 Nさんの言葉を聞いたことがなかった私は、こんなに明瞭に話すことができることを驚いた。Nさんにとって楽しい、心待ちにしていた体験、それが彼女の心を揺さぶり、「あっめ」の連呼になったのだろうか。言葉の発達にとって体験は欠かせない。その大切さを改めて認識した、今朝の出来事であった。