筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

背中でバトンタッチ

 毎年のことながら、本校でも教師の担当する子供が替わることがある。

 変化の苦手な子供たちなので、できるだけ変えない方がよいのであるが、教師の異動などの事情から致し方がない。

 りす組(年中組)に進級したI君の担当の教師も、T先生からK先生に替わった。I君は平成28年に2月23日の本欄で「おんぶから向かい合う姿勢へ」で登場した子供である。昨年4月に入学したI君は、先生の背中で過ごすことが多かった。何をするときでもI君はT先生におんぶされていた。そのI君が、2月のその日、「おひさま文庫」でT先生と向かい合って絵本を読んでいることに驚いた、というのが記事の内容であった。安全基地としてのT先生の背中から、自分の足で周りの世界に踏み出したように見えた。

 周囲とのかかわりに心許なさの残るI君のような状況では、担当は変わらない方がよいのかもしれない。しかし、T先生には持ち上がりをせずに、もう一度新しく入学するひよこ組(年少組)をお願いすることになり、K先生に替えざるを得なかった。

senakade1.png 始業式当初のI君は、昨年度担任したT先生の背中で見ることが多かった。T先生も幼稚部にいるので、登校時や自由遊びの場面などよく一緒になる。T先生におんぶされている様子を見て、教室が変わり、教師が変わったという環境変化の中で、I君はT先生の背中という安全基地をもう一度必要としているのかもしれないと思った。T先生も快く応じている。だが、快く応じているようであるが、どことなくあっさりした様子が感じられた。後でT先生に聞くと、新しいK先生との関係に移行できるように、おんぶしている時間を短くしたり、おんぶの仕方を変えたりしているとのことだった。

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 いつまでこの状態が続くかなと思っていたが、K先生の背中でI君を見ることが少しずつ出てきた。今日は、K先生にI君がおんぶしてもらっては走るという遊びを繰り返していた。プレールームの端から端まで走ると、いったん降りるのであるが、再びI君が腰を下ろしたK先生のところに行き、二人で走った。I君が求めてK先生が応じるという関係が出来上がっていた。

 環境変化に際してI君は安全基地を必要としたようではあるが、T先生からK先生への背中のバトンタッチは、スムーズに進行しているように見えた。