筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

始まりの意識 ~幼稚部の集まり活動~

 平成28年度がスタートした。

 幼稚部で、「あたらしい いちねんが はじまるよ!」という題材名で、最初の集まり活動をするというので行ってみる。幼稚部の年中・年長組の12名を対象とした20分間の活動である。全体のねらいは、「幼稚部での生活が始まることを自分なりに感じたり、期待感をもったりする」である。発達の段階が多様な子供たちの集団で、どのような活動でねらいにせまるのだろうか。

 授業では、昨年度、子供たちが楽しんだ活動がいくつか取り上げられた。まず、多くの子供が好きな「だるまさんが」という絵本の読み聞かせ。子供たちは目を輝かせて見入り、跳び跳ねたり、読み聞かせながら先生が行うしぐさをまねたりした。

 続いて、これまた昨年度子供たちに人気があった手遊び。「♪はじまるよったらはじまるよ、いちといちで・・・・♪」と続く。手遊びが終わるとお話しとなり、進級したことや新しい先生の紹介をした。ここは、先生のお話を聞いている子供とお話には注意を向けず立ち歩く子供に分かれていた。

 お話が終わると、メインで授業を進めるI先生が、何かをしまっている箱を取り出した。箱から少し中のものを見せる。興味を持った子供が箱に近づく。I先生と一緒に取り出したのは大きな布のバルーン。hajimari.pngピアノの音楽に合わせて上に上がったバルーンが風圧とともに降りてくる。子供たちが両手を挙げてバルーンの下に集まる。床に寝転ぶ子供もいる。離れていた子供も集まる。次に、I先生の合図でバルーンに子供たちが乗った。バルーンに子供たちを乗せたまま先生たちが回転する。乗り遅れた子供もその様子を見てバルーンの縁をまたいでバルーンに入る。ひとしきり回転を楽しんだところで、I先生が合図をして、バルーンの活動は終了となった。そして、「おしまい」のうたを終わり集まり活動は終了となった。

 12人の子供はそれぞれに活動を楽しんでいたようだ。では、「始まり」は意識できたのだろうか。I先生の意図は、これまで楽しんだ活動を思い出してもらい、楽しいことがこれからも続くことを感じてほしかったのだと想像する。

 今日の活動を見て、子供たちは、これまでの活動を思い出し楽しんでいたと感じた。先行する経験があったからこそ、絵本やバルーンを見せたとき、想起し思い思いの感情として表出したのである。そのこと自体大切なことであり、この授業の出発点である。では次に、そうした活動がこれからも続くということにどれだけ意識を向けられたか。少なくともこの活動の中では、明日からも絵本やバルーンが続く、といった働きかけはなかった。理解が伴うだけに取り扱いは難しいと思うが、私はそうした働きかけをすべきではなかったかと思う。この活動の終わりは、今日やった楽しいことが明日もあさってもあるよと導くべきではなかったか。話しかけが中心になるかもしれないが、今日の活動の「楽しさ」をもう一度想起させ、子供たちの次の活動への期待を呼び起こしたかった。I先生には、そんな授業を創りだしてほしい。