筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

卒業式の練習に見るS君の成長

 幼稚部修了式・小学部卒業式を3週間後に控え、はじめての合同練習があった。といっても修了生と卒業生だけの証書授与をメインにした練習である。

 最初の練習ではあっても、本校の子どもたちには本番に近い状況設定が必要とのことで、まず、「校長が参加すべし」と担任各位から指導を受けた。そこで、私も第1回目の練習からの参加とあいなった訳である。

 担任各位も言うだけのことあって、準備をしっかりしていた。やはり、これも本番に近い状況設定が大事であるとの理由で、プレイルームにはステージが設置され、赤い絨毯が敷かれていた。幼稚部の中には、本番に着るのだろうブレザーを着ている子どももいる。そして、全員が「卒業おめでとう」と書かれた赤い胸花をつけているのである。そうした状況の中で、私も少しばかりの緊張感をもって臨むことになった。

 今日は、1回目であるから、先生方の指導を受けながらであったが、6年生は何をすればよいか分かっており、全員の視線がステージに集まっていた。卒業証書をもらう動作も「そこそこ」できている。毎年、卒業式に参加して先輩の行動から学んできたのであろう。そうした学びができることが嬉しかった。

 幼稚部の年長のうさぎ組は、6名が修了である。ステージで行われている証書授与の意味は分かりにくいことだろう。混乱気味の子どもが多い。そんな中でS君は、しっかりとステージの方を見て、周囲の拍手に合わせて拍手したり、立ったり座ったりしていた。その様子を見て、入学したてのS君を思いだした。トランポリンが好きで繰り返し跳んでいた。気にいらないことがあると大きな声でよく泣いていた。集団に入ることが難しく、いつも大人がそばにいなくてはならなかった。そんなS君と、担任たちは根気よく遊んだ。抱きながらおんぶしながらトランポリンを跳び、求めに応じてシーツブランコをやってあげていた。そんなS君が集団の中にいて、教員の特別なかかわりなしに参加していることに驚きを禁じ得なかった。それも目を見開き、周囲の様子に注意を払い、ふさわしい行動ができている。胸が熱くなった。

 これからの練習の期間、一人一人の3年間、6年間を振り返ってみたいと思う。