筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

角番校長の挨拶日記その9 ~野花のプレゼント~

 6年生担任のS先生が、玄関から紫色の花を持って教室に急いだ。そういえばつい先日も同じような光景を見かけた。そのときS先生が大事そうに持っていたのは黄色の花だった。戻ってきたS先生にどうしたのか尋ねると、時間とともに花がしおれるから教室前の花瓶にさしてきたのだという。花を持ってきてくれたのは6年生のMさんだ。

kadoban9.pngMさんは週に何度かお母さんと一緒に歩いてくる。その道すがら咲いている野花を積んできては、玄関で待つS先生にプレゼントする。Mさんの家から学校までは歩いて40分ほどかかるという。どの辺りから積んでくるのか分からないが、学校に来る頃には少し精気がなくなっているようだ。そこでS先生は花を受け取って、教室前の花瓶にさすために急いだということのようである。S先生に花を渡して、Mさんは玄関でゆっくりと靴を履き替え、私のところに来て、いつものようにていねいに朝の挨拶をする。

それにしても長いみちすがら、Mさんとお母さんは、どんな話をしてくるのだろうか。歩きながら目にするいろいろなことを話すのだろうか、今日学校で予定されていることについて話すのだろうか。きっと親子にとっていい時間だと思う。

 そうした親子楽しい時間の中で、野花を目にしたMさんがお母さんに、S先生に持っていく、と言って摘んでいる姿が目に浮かぶ。S先生は親子の幸せな時間のお裾分けに預かっているのだと思う。

 卒業まで、あと1か月を切った。Mさんはあと何回幸せ色の花を摘んできてくれるだろうか。