筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

子供の思いと表現その1 ~4歳児の初めての手紙~

 今日、N先生が、担当しているりす組(4歳児)のT君が「初めて手紙を書いた!」と喜んで話していた。T君が仲良しのM君に初めて書いた手紙を紹介しよう。

 手紙の内容は、「M君へ Mちゃんがとっても大好きなT君です。給食がとっても好きなT君です。」というものである。

 この日、M君は体調が悪く欠席した。ふだんからM君と仲良しのT君が、M君を心配して、手紙を書くことにした。覚えたての文字で、先生と一緒に書いたものである。「くだ」など0301①.png、ところどころ判別できる。T君は自分で話しながら書いた。私たちが読めない文字はあるが、T君は自分の思いを形にしているのである。思いは、形にまとうことにより、紙の上に固定化された。固定化されることによって、翌日以降もずっと残ることになった。

 残された形は、次の日登校したT君によって気づかれ、そし0301②.jpgて、M君に手渡された。M君の驚きと喜びの表情。思いが伝わった瞬間である。
T君は思いを伝える手段として、手紙という方法があること、それは自分の関心事である文字を書くことで可能であることを知った。手紙を書いて思いを伝えることを完全には出来ないが、そこに教師が介在して形にする。思いは形を整え表現される。こうしてT君は表現することの力と素晴らしさを学び、M君はT君の形になった思いを受け止め、何度も何度も見返し、手紙という表現手段に気づいていくことだろう。

 思いを形にする「表現」、教師という大人の介在によってそれを促進する、その在り方を追求してきた私たちにとって素晴らしいプレゼントであった。