筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

実践研を終えて ~久里浜はどこに向かうのですか~

 全国の教員や関係者の皆様を迎えての自閉症教育実践研究協議会を終えた。

 心なしか、本校教職員の表情にも安堵の色がうかがえる。朝、子どもを迎える挨拶の声にも張りがある。重圧から解放されたという思いもあるだろうが、自分たちのやってきたことに手応えを感じたという面もあるようだ。

 本校の教員は赴任1年目から、何らかの発表を行う。研究事例の発表、授業研究の発表、教材の発表などのいずれかを行う。ドキドキして迎えることになる教員が多いことだろうが、自分のやってきたことをまとめ、他者に聞いてもらう、それに対して何らかの反応があることは嬉しいものである。もう少し詳しく知りたいことを聞かれたり、疑問点について質問されたりする。良い評価も、辛口の指摘もある。いずれにしても、今後に向けての励みになる。実践研は、本校の情報を発信する場であると同時に、本校の教員を鍛えてくれる場でもあるのだ。

20150212.png さて、2日間の実践研の中でも、参会者との交流が最も活発に行われるのがポスター発表の場である。さほど広くないポスター会場では、熱く語り合う姿があちこちに見受けられた(写真)。

 そのポスター会場で私にも質問があった。久里浜に5~6年前に研修にきたことがある方だという。

 その方が研修に来られた頃は、本校は自閉症の子どもの特性に応じた教育を目指し、環境を整え、子どもにとって分かりやすい指導が追求されていたそうである。今回の「表現する力を育てる」をテーマにした発表を聞いて、子どもの内面や子どもと教師の関係を大切にすることは分かるが、久里浜が目指してきたことが変わるのですか、ということが質問の趣旨であった。

 本校が目指していることは変わらないつもりである。知的障害と自閉症というダブルハンディのある子どもにとって、よりよい教育を追求し発信していくことは変わらない使命である。しかし、今、私たちが自ら創り出してきた自閉症の子どもの特性に応じた教育の在り方を、子ども一人一人の視点から、特に、子どもの認知や情動(今回は認知や情動のアウトプットである「表現」をテーマとした)ということに重きをおいて、具体化し見直しを行っていると、私は考えている。こうした取組は、これまで良いとされてきた環境や指導の在り方を見直すことにもなる。これまでと異なる面が見えてくるのは当然だが、こうした説明が行き届いていなかったのであろう。

 参会者のアンケートでは、子どもの成長の様子や授業への取組については、好評価をいただいた。具体の取組は好印象だったが、私たちの目指していることが伝わりにくかったとすれば、より明確に分かりやすく伝える工夫を、さらに続けていかなければならない。