筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

オニはーそと ~幼稚部まめまき~

 バーン、バーン、プレイルームの床を棍棒でたたきながら、迫力満点に赤鬼と青鬼が登場した。この登場に、子どもたちは一瞬目を見張る。すぐには動けない。

 すると、少し顔を紅潮させた5歳児D君が真剣な顔で、鬼に玉を投げ始めた。それを見た4歳児のT君が続く。鬼はワーワーと言いながら威嚇するが、多くの子どもたちは、まだ立ち尽くしている。ようやくS君、R君、K君が玉を持って挑みはじめた。怖がる子どもはいないようだが、というより真っ先に部屋を飛び出した子どもはいるが、見つめている子どもが多い。何をしてよいか分からないのだろうか。考えてみれば見ながら投げるということは難しい。先生たちの誘いを受け、玉を持たせてもらい、ようやく参戦する子どもが増えてくる。しばらくして鬼は退散をしていった。

 子どもたちの表情にも安堵の表情がもどった。とすると、鬼たちが再び登場。しかも、赤鬼が増えている。その赤鬼は、ひときわ声が大きく猛々しい。リベンジにきたという設定のようである。だが、子どもたちの表情はさっきとは違い、少し余裕がある。参戦する子どもが断然増えている。さっきは目を見張っていた子どもも鬼を目がけて玉を投げる。鬼はちょっと当たると大げさに転がってくれる。だから面白い。I君は、4個も5個も抱えて鬼に投げた。またしても鬼を追いやった。

 最後に、先生の合図でみんな集まる。みんなが一つの教室に入っていく。中には、先生に抱かれている子どももいるが、それにしてもはみ出す子どもがいないのは珍しい。幼稚部17人の子どもの「集まりの会」は毎日行われるが、何人かは集団の周囲にいることが珍しくない。この日はみんなが一つの部屋に入っている。この活動が子どもたちの気持ちを捉えているのであろう。ある先生が、山に逃げた鬼が忘れていったパンツが落ちていたと言って入ってきた。「鬼のパンツ」を歌い、今日の「集まりの会」は終わった。

 二度目の鬼の登場はいいアイディアだった。子どもにしてみたら、今日まで、いろいろ事前学習をしてきたにせよ、本番の迫力は違ったことだろう。最初の経験には目を見張るしかなかったし、それが自然だ。行動の前にまず見極めるべきである。だが、元気のある子どもは一度目のうちに行動し、それを見て学んだ子どもがいた。そして、そういう子どもは心の準備(構え)をした。
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 だから、二度目にはより多くの子どもが玉を鬼に投げたし、一度目に元気な子どもはさらに積極的になった。そして、周囲で見ていた子どもの表情にも余裕をもたらした。

 子どもの心に残ったものを見つめ、次の活動へとつなげたい。

 ところで、この豆まきには、子どもたちが放課後ディサービスで御世話になっている「希望のひかり」の指導員の方が3名参加してくれた。迫力満点の赤鬼役も買って出てくれた。鬼は外であるが、福(祉)は内、である。共に子どもたちを育んでいきたい。