筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

お店で働く体験 ~ファミリーマートと業務スーパーでの体験~

 小学部4~6年生の「働く体験」学習の様子を聞いた。学校から10分、日ごろは買い物でお世話になっているスーパー(業務スーパー野比店)で、働く場をご提供いただいたのだそうである。学習の様子を写真で見せてもらうと、20150128_1.png店長さんや青果リーダーの方の説明を聞く子どもたちの緊張感、野菜を袋詰めする真剣な表情(右の写真)、自分たちが袋詰めした野菜を店頭に運ぶときの笑顔など、どの写真もとても印象的であった。担当の教師からこれまでの学習の様子を聞いた。

 まず、この学習を始めるに当たって、子どもたちに将来のことを聞いた。6年生は、昨年、マクドナルドで働いたり、今年度も八百屋さんで働いたりした経験があるので、将来は働く生活をするという意見が素直に出てくる。だが、そうした経験のない4年生は、働くのは嫌だから遊びたいと言う。周囲の情報を受け取ることが苦手な本校の子どもにとっては、周りで働いている人を見ても自分の将来の姿とは重ならないようである。ここは、実体験を積ませることが必要だと先生たちは考えた、との話である。

 そして、まず、働く体験の場としたのは、子どもたちにもおなじみのコンビニ(ファミリーマート野比中学前店)である。普段から買い物学習に行っているし、家が近所で買い物に20150128_2.png行っている子どももいる。当日は、店長さんほか2名のスタッフの方から、「品出し」「前出し」「カゴ拭き」の三つの仕事を教わった。左の写真はカゴ拭きのようすであるが、なんとお店のユニフォームまで着用させてもらった。子どもたちの目は生き生きと輝き、仕事のやり方も熱心に聞き、真剣に取り組んだ。ファミリーマートでの体験は、2回行ったが、子どもたちはお店の裏方を初めて知り、そこで行われている仕事に興味をもった。説明を聞き、仕事をする時間は合わせても短時間ではあるが、子どもたちには貴重な体験になったようである。学習後に4年生に尋ねると、将来は「仕事をしたい」と大きな声で話した。

 今回は業務スーパーさんで、野菜の袋詰めを体験させていただいた。まずは、店長さんから、にんじんやきゅうりを誰が作ったのか、どうやってお店に運ばれてきたのか、袋詰めはお客さんと作った人をつなぐ大切な仕事であることを聞いた。ふだん話を聞くことが苦手な子どもも耳を傾けている。作業場に凜とはりつめた雰囲気が子どもたちにも感じられるようである。次に青果リーダーの人が、野菜の袋への詰め方を説明してくれる。にんじんは上下交互に入れること、きゅうりには入れる向きがあることなど、子どもたちにも教師にも新鮮な話であった。説明を聞いた後、袋詰めの作業をした。説明を思い出しながら、お手本を見ながら、子どもたちは慎重である。野菜を大切に届けるという店長さんのお話がどこかに残っているのかもしれない。詰め終わると店内に運ぶ。今回の仕事の締めくくりである。すると、たまたま買い物に来てくれたお客さんが声をかけてくれた。「小学生なのに感心だね」「とても上手に詰めているね」、子どもたちの顔から思わず笑顔がこぼれた。

 教員たちは、こうした得難い体験の場を提供していただいた業務スーパーさんとファミリーマートさんに感謝の気持ちが大きいのだそうであるが、何よりも、この二度の学習の最後にお店の人が「働いてくれてありがとう」と子どもたちに声をかけてくれたことに、心揺さぶられたと話していた。

 子どもたちは、作物が人の手を経て自分たちのところに届くことを学ぶとともに、働くことの喜びも感じることができたようである。そして、我が教員に子どもたちを共に支える気持ちを届けてくれた皆さん、私からもお礼申し上げます。