筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

角番校長の挨拶日記その13 ~自分の流儀 その1~

 「流儀」を辞書で引くと「物事のやり方」と示されている。本校には、自分の「やり方」を貫く子どもが多い。それを称して、「こだわり」と言われることもある。本校の子どもたちは、物事のやり方にこだわりを持つ者が多く、ときにいろいろな話題となる。

 1年生のK君は、いつも笑みをたたえて登校し、さっさと靴を履きかえ、私のところに来て深々とお辞儀をする。「おはよう」という言葉はないが、その動作にはある種の完璧さを感じてしまう。それを見て私は清新な気持ちになり、「おはようございます」と言いつつ深々とお辞儀をしている。

 今日もにこにこして登校したK君がさっさと内履きに履き替えたが、いつになく足の甲のベルトがねじれてしまった。そのままやり過ごしてもよかったが、もうK君との挨拶も随分繰り返してきたので、少々の流れを変えても大丈夫だろうと思った。そこで、彼が、私の前に来て頭を下げようとしたときに、私はその動作を遮り「K君、ズック直してからにしようよ」と言いかけた。だが、その言葉が終わらないうちに、K君は後ずさりし床に転がってしまった。慌てた私は、転がる彼のもとに走りなだめたが容易には収まらない。ようやく担任の先生が来て、K君の気持ちも立て直すことができ、私といつもの挨拶をして教室へと向かった。担任の先生曰く、自分のやり方に対するこだわりが強いのだとのこと。

 K君が登校から挨拶までの一連の行動をスムーズに、しかも笑顔を浮かべながら行っているので、私はK君には多少とも心のゆとりがあるものと思い、挨拶の流れを止めたわけである。しかし、K君の方は精一杯の行動だったようだ。K君なりのやり方は尊重されるべきだが、人との関係においては柔軟さを身に付けていってほしいものである。だから、いつもと同じ彼のやり方に干渉してはならないとは思わないが、いつ、どういうタイミングで介入するかは、我々が研究すべき課題である。