筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

角番校長の挨拶日記 その3

 角番(このいきさつは5月20日の便りを参照)になって2か月、子供たちに随分意識されるようになってきた。意識の仕方は様々であるが。

 例年より早く梅雨入りし、昨日まで降り続いた雨がようやく一段落した。梅雨の合間の晴れ間に子供たちも嬉しいようで、大方の子供たちの足取りが軽く見える。

 S先生が小さな花が咲いた植物を一輪持って入ってきた。5年生のTさんが、今日は歩いて登校し、道端に咲いていた花を先生にプレゼントすると言って手折ってきたとのこと。S先生の嬉しそうな顔といったらない。朝のエンジンのかかりが遅いTさんであるが、今日は40分位歩いてきたのだそうで、動きが軽快である。いつもは私からの挨拶に返してくれるのだが、今日は自分から「おはようございます」と言う。声も弾んでいる。

 2年生のH君は、私の前に来ると自分から挨拶してくれるのだが、今日は、私の視線を感じて5m位前で「おようございます」と言ってくれた。すれ違うまでに時間があるので、手を出して待つと、タッチをして通り過ぎていった。

 6年生のSさんは、私の方に向かって歩いているときには視線が合っていたが、その後、視線をそらして通りすぎようとした。そこで手をつかむと「おはようございます」と言った。Sさんには、まだ迷いがあるのだろうか。

 4年生のK君にも迷いがある。靴をさっさと取り替え、足取り軽く私の方に向かってきたが、だんだん歩くスピードが遅くなる。私の前で立ち止まる。立ち止まるが体勢は教室の方に向かってもいる。視線があう。ここで、私が「おはよう」と言えば、彼は「おはよう」と言うだろうが、ぎりぎりのタイミングを計ってみる。K君の口が少し開いたが止まった。私は、声を出さずに「おはよう」と口を動かした。すると彼は、小さいがはっきりとした声で「おはよう」と言った。私は、大きな声で「おはようございます」と答え、彼を教室に送り出した。彼が、自分から「おはようございます」と言ってくれる日も、そう遠くないだろう。

 一応お断りしておくが、私は、子供の方から挨拶すべきだと思っている訳ではない。そんなことは、どちらからでもよい。ただ、自発できない子供には、自分から言えるようになってほしいし、毎日の決まった場面は自発を促すよい機会である。そうして、お互いに気持ちのよい挨拶を交わし、プラスの一言を交わせたらいいと思っている。