筑波大学附属久里浜特別支援学校 Special Needs Education School for Children with Autism,University of Tsukuba

トランポリンを巡る小さな争い

 幼稚部の話題である。4月、子どもたちに人気の遊具であるトランポリンをめぐって小さな争いがあった。

 この4月、年長の子どもたちを送り出し、半数近い教員の入れ替えもあった。このことは、当然残った子どもたちの勢力図を大きく変えることになり、Y君とI君は、トランポリンの主導権をめぐって小さなバトルを展開した。

 その日は、Y君が先に登校した。着替えを終えてプレイスペースに出たY君、誰もいないトランポリンを見つけ満面の笑顔で乗る。「イー」という歓声を上げながら、上機嫌で跳んでいる。去年の今頃は一人で跳べず、大人に抱っこされて跳んでいたが、足腰がしっかりしてきた。遅れて登校したI君、着替えを終えて出てくるとトランポリンは、すでに占領されていた。トランポリン下のマットでY君を見上げながら待っている。疲れたのだろうか、Y君が降りた。すかさずI君がトランポリンに乗った。こちらも歓声をあげ、意気揚々と跳んでいる。

 2、3分経っただろうか。Y君が戻ってきた。遠慮なくトランポリンに乗る。息を合わせようとしない二人だからバランスが悪い。思うように跳べなくなり、I君が降りた。Y君は、勢いよく跳び始めた。I君は、しょぼんと下で待っている。しばらくして、ほかの子どもの遊びが気になったY君がトランポリンを降りた。I君は、「待ってました」と言わんばかりにトランポリンへ。

 その頃、Nさんがトランポリンにもたれかかったり、乗ろうとしたり明らかにトランポリンをやりたい仕草を見せていた。その様子を見たI君は、Nさんを押しのけた。それでも、トランポリンにもたれてかかっていたNさんであったが、I君にもう一度押され、その場を立ち去った。


 一方、ふたたびY君がトランポリンに戻ってきた。I君は、やっと思いっきり跳べるようになり、アクセル全開状態である。そこに、Y君が遠慮なく乗ったが、今度は、I君もすんなりは引き下がらなかった。トランポリンの上で二人の押し合いが始まった。程なくY君がI君を押しだした。下に降りたI君は「ア-」という声をあげ泣きだした。

trampoline.png トランポリンを巡る小さな争いは、今後も続きそうである。そして、その小さなもめ事は、子ども達にいろいろなことを学ぶ機会を提供することになるだろう。人と人との関係を通してした学べないものは、たくさんあるのだから。